REVIEW

コーヒーと、タバコと、微笑みを。「LUCKY」

2018-06-01

先月、アップリンク渋谷で鑑賞した「LUCKY」

製作年は2016年なのですが、今年日本で初めての公開でした。

とても印象的な作品だったので、紹介させてください。

 

 

「孤独と一人は違う。」

ラッキーの人生の答えとは

英語とスペイン語が飛び交う、アメリカ南西部の街で過ごすラッキー。90歳。

毎朝起きたら欠かさないのが、ヨガとエクササイズ。行きつけのカフェでコーヒーを飲みながらクロスワードを解き、ドラックストアでタバコを買う。

家に帰ると、クロスワードの続きをやりながらクイズ番組を楽しむ。

特に代わり映えのしない、ラッキーの毎日が淡々と描かれます。頑固で厄介なおじいさんですが、街のみんなから愛される人気者です。

 

 

ラッキーは多くを語りません。

説明的なセリフはなく、彼と彼が出会った人々との会話だけで構成されています。心理描写が少ないので、ラッキーの過ごす日々を、私たちは第三者として傍観しているような感覚です。

 

ある日のこと。
朝コーヒーを飲もうとしたとき、ラッキーは自宅で一人倒れてしまいます。
原因は加齢。
タバコをふかしても、たくさんお酒を飲んでもピンピンしていたラッキーですが、年齢による衰えからは逃れられません。これを機に、ラッキーは自分に近づきつつある「死」について考え始めるのです。

 

 

人生とは、なにか
ラッキーがみつけた答えとは

死について考えつづけるラッキー。

物語終盤で、行きつけのバーでタバコを吸おうとすると店長に注意されてしまうのですが、

その時、彼の口からこんな言葉がとびだしました。

 

It’s all going to go away. (全て、どこかにいってしまうんだ。)

You, you, you, you, me, this cigarette, everything… into blackness, the void.(おまえも、おまえも、おまえも、おまえも、俺も、このタバコだって全部… 真っ暗闇の中に。「無」に消えるんだ。)

 

これが、現実主義者で無神論者のラッキーが出した、死に対する解釈です。

 

And what do you do with that?  (じゃあ、どうすればいいの?)

 

その言葉を聞いたバーの店長が問いただします。
この問いに、ラッキーは何と答えるのでしょうか。この先は、物語を通してみなさんに感じ取っていただきたいです。

 

 

さいごに。

この作品は、主人公を演じたHarry Dean Stantonの遺作です。
脚色があるとはいえ、撮影時実際に90歳だったHarry Dean Stantonが主演をつとめ、彼の等身大のありのままを描いたことが、この映画のすごいところなのだと思います。ラッキーが導き出す答えには、本人の経験も取り入れられているそうです。

この物語を通して、ラッキーとハリー・ディーン・スタントンの人生に出会えてよかったです。

 

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