COLUMN

マイノリティに光をあてる。ー「フランス映画のすすめ vol.1」

2018-07-06

 

先月みなとみらいで開催された、フランス映画祭。
日本へフランス映画を普及するために、1993年から毎年開催されているそうです。オープニングイベントに参加する機会をいただけたので、行って来ました!

 

フランス映画祭_ナタリーバイ

2018年、映画祭の団長を務めたナタリー・バイさん。

フランス映画祭_エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ

フランス映画祭_エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ2

「最強のふたり」でおなじみの監督エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュさんも来日しました。
彼らの新作「セラヴィ!」と、グザヴィエ・ルグラン監督の「カストディ」を鑑賞してきましたので、その2つを中心にフランス映画について書きたいと思います。

 

中盤から爆笑がとまらない

「セラヴィ!」

 

フランス映画祭_セラヴィ!

 

フランス映画祭2018のオープニング作品として上映された本作。
昨日7/6から映画館で公開になりました。

舞台は結婚式場。

式の運営をするメンバーたちが巻き起こすコメディドラマです。

開始30分くらいは淡々と結婚式の準備が進んで行くのですが、後半に差し掛かかってからは、もう爆笑の連続…。
映画をみてこんなに爆笑したのは初めてかもしれません。
「最強のふたり」のようなテイストは残しつつも、今回はかなり笑いに振り切っている本作。

登場人物は至って真剣なのですが、そこがまたシュールな面白さを生み出しています。

 

セラヴィ!_新郎

セラヴィ!

「セラヴィ!新郎」の画像検索結果

 

自分が目立つことしか考えていないポンコツの新郎。

無能すぎる日雇いワーカー。

すぐに癇癪を起こすリーダー

…登場人物みんなが問題だらけ。

 

「最強のふたり」もそうでしたが、日常に転がっている笑いのタネを拾い上げるのがとても上手な監督だと思います。

たとえば、中年のカメラマンが新郎新婦を撮影をするシーン。
スマホを持った大勢の人たちと一緒に撮っていると、「おれ、カメラで取る必要あるのかな…?」という気持ちになったりしますよね。

それを経験したことがあるので、スクリーンの中で同じ状況を見て、ふと笑いをこぼしてしまいました。

 

セラヴィ!_写真撮影

 

上映後のトークショーで終始笑いを狙っていた監督のお二人。
監督である前に、エンターテイナーなのだと思いました。

物語前半にばらまかれた伏線を、すべて後半で拾い上げ、それが全て笑いにかわっていく気持ち良さをぜひ味わってください。

また本作は、イスラエル出身の世界的ベーシスト、アヴィシャイ・コーエンさんに音楽を依頼したようで、心地のいい曲がたくさん詰め込まれています。そちらにも注目してみてください。

 

 

人間ホラー
父親と母子の闘い

「カストディ」

カストディ_ジュリアン

 

こちらは、昨年ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞した、グザヴィエ・ルグラン監督の作品。
カストディとは、フランス語で「親権」という意味。
人間の精神的暴力の恐ろしさを、最大限に引き出していました。

主人公ジュリアンの親は離婚し、母とその家族と暮らしているのですが、週末になると空気がだんだん重くなっていきます。…それは、父との面会日だから。

離婚は成立したものの、週に一度は父親と合わなくてはならないジュリアン。
そこまで嫌なの?と思いましたが、父親が登場するやいなや、それも無理はありません。

 

ジュリアン_車内

「なぜお母さんに会わせなない?」

「なぜ目を見て話さない?」

 

質問責めにされた挙句、荒い運転で父親の実家に連れて行かれてしまいます。
自分が犠牲になれば、お母さんに迷惑はかからないと思っているからでしょうか。息子はお母さんの情報を一切喋りません。

小さな子どもが、ただプレッシャーに耐えている姿を見るのは、とても辛いものがありました。

 

フランス映画祭_ジュリアン

 

これはまだ序の口で、ここから恐怖の物語が幕を開けます。

恐ろしさが勝るので、面白かったかと聞かれたら「はい」とは言いにくいのですが、
この作品で取り上げられている問題については、目を反らしてはいけないと思いました。

 

この作品で取り上げられているような狂気じみた事件というのは、人への歪んだ愛情が引き起こすものなので
他人事だとは思えません。

父親の妻に対する感情は、もはや愛情とは呼べず、ただの「執着心」に近いような気がします。
両親にまで見捨てられてしまった父親は、「誰にも愛されない」という最悪な結末に向かって行くことへの恐怖で、ここまで精神を病んでしまったのだと思いました。

誰からも相手にされない、必要とされないというのは、生きていく希望を失う十分な理由になりえます。
このような事実を伝えるためには、とても重要な作品だと思います。

 

ジュリアン_父

 

父親の視点に立って見ると、少し悲しい物語にも見えました。

来年の1月、日本で公開予定です。

 

 

わたしがフランス映画に興味を持ったのは、やはりグザヴィエ・ドラン監督の作品がきっかけでした。
私はロランス」をみて、今まで観てきた映画とは全く違う切り口と、アートのような演出に驚かされました。

マイノリティの存在にスポットを当てて事実を伝えるというところは、フランス映画の大きな特徴なのかもしれません。
観る人が同じ境遇ではないとしても、メッセージは伝わるのだと思いました。
現に、ドラン監督の作品は、性的マイノリティーの人物を扱うことが多いですが、生きて行く上で誰もが味わう葛藤と似ている部分もあるのではないでしょうか。

 

私はロランス

 

これからも、フランスの個性的な映画にたくさん触れたいと思っています。

「フランス映画のすすめVol.2」では、グザヴィエ・ドラン監督について詳しく書こうと思っていますので、また是非遊びに来てください。

 

 

 

 

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