REVIEW

さよならのあとも、関係は続いていくー映画のトビラvol.1「ぼくとアールと彼女のさよなら」

2018-11-05

映画のトビラvol.1

「ぼくとアールと彼女のさよなら」
(Me and Earl and the Dying Girl)

 

ぼくとアールと彼女のさよなら_タイトル

ぼくとアールと彼女のさよなら_セリフ

 

ぼくとアールと彼女のさよなら_グレッグ

ぼくとアールと彼女のさよなら_アール

ぼくとアールと彼女のさよなら_お父さん

ぼくとアールと彼女のさよなら_テニスに死す

ぼくとアールと彼女のさよなら_グレッグとレイチェル

ぼくとアールと彼女のさよなら_クラスメイト

ぼくとアールと彼女のさよなら_グレッグとアイス

 

 

 

 


ひねくれ男子高校生と
少女の出会い

主人公グレッグは、一歩引いて学園生活を眺めている、いわゆるひねくれ者の高校生。学校のすべての国のパスポートを手に入れ、みんなとそれなりに仲良くして卒業したいと願っていました
物語は彼のユニークな視点で語られ、テンポよく進んでいくのですが、彼の前に少女レイチェルが現れることで、段々リズムが変わっていきます。

ぼくとアールと彼女のさよなら_アールとグレッグ
ぼくとアールと彼女のさよなら_グレッグとレイチェル2
「なんで会いにきたの?」
白血病を患う少女、レイチェルからの問いに「親にお見舞いに行けって言われたから」と答えるグレッグ。
みなが紋切り型の慰めの言葉を投げかけてくる中、正直な気持ちでに接してくる彼に、次第にレイチェルは心を開いていきます。

義務的に始まった関係ではあるものの、気づけば彼女との時間が生活の大部分を占めていることにグレッグは気づくのです。

 

 

心の中で成長しつづける、亡き人の存在

「その人が亡くなってから、もっとその人を知ることになる」

レイチェルを待ち受ける悲しい未来を受け入れられず不安を覚えるグレッグに、マッカーシー先生が言います。

ぼくとアールと彼女のさよなら_マッカーシー先生
「ずっと心の中で生きつづける」とはいっても、大切な人がこの世からいなくなる悲しみは、そう簡単に薄れるものではない。そう思っていたので、この作品を初めて観たときは、きれいごとのように聞こえてしまいました。

そのあと私の祖父、祖母、愛犬が、次々とこの世を去りましたが、それから長い時間が経ったいま、薄れつつあった彼らの存在が自分の中で大きくなっていることに、最近気がつきました。

ぼくとアールと彼女のさよなら_レイチェルとグレッグ3
ぼくとアールと彼女のさよなら_クッションとグレッグ
その人のことを「知った」というよりは、むかし理解できなかった
その人の発言や行動への「理解が深まった」といった感覚です。それからは、ずっと自分のそばにいてくれている気がして、一緒にいた時のように強くいられます。

 

ぼくとアールと彼女のさよなら_部屋のリス
ぼくとアールと彼女のさよなら_ブックアート
ラストシーン、グレッグはレイチェルの部屋を見渡し、部屋の隅々に彼女をみつけます。壁紙に描かれたリスの絵、昔から好きだったハサミでつくったブックアート。
深い悲しみと愛しい思い出が混ざり合った複雑な感情を、グレッグ役のトーマス・マンがみごとに演じています。

 

ぼくとアールと彼女のさよなら_ラスト
何に関しても深く関わらず本気で取り組めないグレッグからは、まさに今の若者の姿と葛藤が垣間みえます。
そんな彼が物語終盤、レイチェルの未来を恐れながらも、顔を背けずに現実と
向き合っていく姿には心を打たれました。

ポップなテイストでありながら、一度見ただけでは消化できないほどの深いメッセージ性がある、すばらしい作品です。
ジョークとユーモアに心を奪われ、エンドロールで静かな涙を誘う、グレッグとアールとレイチェルの物語。
ぜひ、みなさんに観てほしいです。

 

ぼくとアールと彼女のさよなら_マッカーシー先生イラスト

イラスト:一色美奈保
(@iroiro_minaho | InstagramTwitter)

1991年、大阪府生まれ。
『北摂の本』『東京のごちそう』などに挿絵や似顔絵を描いている。

文:鈴木友里
(@olive_movie| Instagram,Twitter)
株式会社文鳥社/カラス。コピーライター。

OLIVEの企画とライティングを担当。

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