REVIEW

「マチルド、翼を広げ」/ 初日イベントレポート

2019-01-15

1月12日に公開された、映画「マチルド、翼を広げ」。

心が不安定なお母さんと、独特な感性を持った娘のマチルド、母娘ふたりの世界を描いた作品です。
初日の上映&トークイベントに参加してきました。

マチルド翼を広げ_ポスター

© 2017 F Comme Film / Gaumont / France 2 Cinéma

お母さんと同じ時間を過ごしたいと願う娘と、精神的な救いを求める母。
ふたりは一緒に生きていくためにそれぞれが抱える問題と闘うのですが、なかなかうまくいきません。
それぞれの孤独と2人にしかわからない特別な繋がりが、物語全体を通して描かれます。

マチルダ翼を広げ2

マチルダ翼を広げ1

© 2017 F Comme Film / Gaumont / France 2 Cinéma

 

トークイベントには、映画監督の枝優花さんがゲストとして登壇。
幼少期、一人の時間を過ごすことが多かったと話す枝さんは、ご自身の過去とも重なるシーンが多かったといいます。
枝さんが監督された、映画「少女邂逅」は、孤独な少女と、そこに突然現れた少女の友情と救済を描いた物語で、本作と共通する点についてもお話しされていました。

枝優花監督_マチルダ翼を広げ

「少女邂逅」は枝さん自身の経験をもとに制作されたそうですが、「自分の過去にこんな人がいたらよかった」という願いから物語が生まれたと語り、「自分が必要としているような人がいない時、人間以外の物や生き物に頼ったりすることがあると思う」と幼少期を振り返っていらっしゃいました。

本作「マチルド、翼を広げ」の中では、フクロウがその「必要な存在」にあたるのだと思います。

フクロウ_マチルダ翼を広げ
フクロウは様々な分野で「神」の象徴であると言われていますが、本作でもこの可愛らしいフクロウはマチルドにしか聞こえない声で喋り、見守り、それに支えられて彼女は試練を乗り越えていきます。


同じくフランス映画で、昨年の東京国際映画祭でグランプリを受賞した「アマンダ」との共通点についても、枝監督が言及。
マイナスな感情を作品からほとんど排除して描いている点で共通していて、「喪失」や「憎しみ」よりも、「その先どうやって人生を歩んでいくか」に焦点が当てられているといいます。
そういった描き方だからこそ、物語全体を通して前向きなメッセージが感じられたのかもしれません。

母娘_マチルド翼を広げ2

© 2017 F Comme Film / Gaumont / France 2 Cinéma

また本作は、映像ならではの表現もとても印象的です。
たとえば、水の中で仰向けに横たわるマチルドの姿は、絵画「オフィーリア」の絵を彷彿とさせ、水の中から起き上がるシーンは彼女の「解放」を効果的に表現していると思いました。

母娘_マチルド翼を広げ

© 2017 F Comme Film / Gaumont / France 2 Cinéma

母娘という一番近い存在でありながら、わかりあえないもどかしさ。
ふたりにしか理解できない、共通世界の存在。
これは、親子を語るには避けて通れないテーマだと思います。「家族だから分かり合える」とは一概に言えませんが、同じ血を分け合う親子にしか分かり合えない感性が、お互いを救うことは確かにあると思います。

そういう意味で、親と子は一番近い存在であり、時に一番の理解者となり得るのではないでしょうか。
わたしは、本作からそんなメッセージを受け取りました。

 

『マチルド、翼を広げ』
© 2017 F Comme Film / Gaumont / France 2 Cinéma
配給 : TOMORROW Films. / サンリス

2019年1月12日(土)より新宿シネマカリテほか、全国順次公開
公式サイト→http://www.senlis.co.jp/mathilde-tsubasa/

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